惑星

惑星が一つ減った
冥王星が惑星から外れてしまった。
何故か
冥王星の外側に冥王星より少し大きい天体が見つかった。
昔から言われていた第10惑星の発見であった。
しかし、今後太陽系の外縁では沢山の惑星が見つかる可能性があった。
だから、「惑星とは」という自明の定義をもう一度定義し直す必要が合った。
冥王星以前の定義は多分簡単で、水星以上の大きさで、太陽の周りを回っている星だった。
木星と火星の間にある沢山の小さな天体は「小惑星」と呼ばれていた。多数の凍った気体を有する楕円軌道を持つものは彗星と呼ばれていた。
そこで冥王星を惑星とする定義を探した結果、自重で球形をしていて太陽の周りを回っている星、という定義が提唱された。
しかし、そうなるといくつかの天体も惑星としなければならなかった。一つは小惑星セレス。小惑星の中では大型で球形をしていることが最近分かった。もう一つが冥王星の回りをまわる衛星カロンカロン冥王星の半分もの直径があり,冥王星自身の軌道がカロンに影響されているため、二重惑星にするべきだと言われた。
しかし、カロンはもちろん冥王星も、地球の衛星である月、木星の4大惑星、土星の衛星タイタン、海王星の衛星トリトンより小さい。冥王星カロンが惑星なら月は何故惑星でないのか。そこで、軌道上で圧倒的な大きさの星を惑星と呼ぼうと言う定義が提案された。軌道上の他の星を吸収し、圧倒的な大きさに成長すれば二重惑星はないだろうとの予測もあるのだろう。
 新惑星も冥王星と同じくらいの大きさだし、セレスは冥王星より小さい。しかも、今後太陽系の外縁にはこうした星が多数存在する可能性がある。これらを惑星と呼ぶのはどうか、という訳で、別の提案があり、決定された。
 今回の決定は、惑星の定義を拡大せずに、冥王星を含む小さい球形の惑星に「矮惑星」の定義を与えるものであった。私は、これはうまい解決だと考える。そもそもの提案も冥王星などを「プルートン」というグループ名称にしよう、しかし、同時に惑星に数えようという、やや欲張った、矛盾した提案だった。惑星にしないかわりに、小惑星や彗星にも数えず、新しい定義と名称を与える。新しい知見により、新しい定義の新しいグループが見つかった、その最初の星が冥王星だった。私は古典的惑星の末席を汚しているより、進取の気性に富むアメリカらしい(アメリカが発見した唯一の「惑星」が冥王星だった)と思う。