松の大敵

この小さな虫、マツノマダラカミキリが、日本中の松を枯らしたというのはにわかに信じがたい話ですが、本当です。
正確には、北米から輸入した木材にいたマツノザイセンチュウという寄生虫が、この虫で運ばれ、蚊がマラリアを媒介するように日本中の松を枯らしてしまったのです。

日本の歴史始まって以来、これほど大きな生態系への影響を与えた外来種はいません。
江戸時代の浮世絵は、山には松の木が点々と生えている風景を描いていますが、そういう風景は二度と戻ってきません。
今見ている風景は、江戸時代以前の日本人が見ていた風景とは別物になってしまったわけです。

これほどの害虫ですが、決して数が多いわけでなく、しかも松の梢にいることためか、野外で見たのはまだ数回しかありません。
近くに枯れた松の木があったので、そこから羽化してきてのではないかと思います。
止まっているのは、松ではなくヒノキです。