今年は、イヤー・オブ・ドラゴン。
十二支の中、唯一の架空の動物、龍の年になります。
龍は中国皇帝の象徴。
まさに史上最高の動物でしょう。

もっとも、タイの聖なる鳥、ガルーダは、地上を支配していた龍族(ナーガ)を食べる不死鳥ですから、龍を最高の生物とするのは中国だけでしょう。

しかし、龍を架空の動物とするには、疑問がわきます。
竜虎相い食む、と言う諺は、竜と虎が同じ次元で戦っているイメージですね。
竜巻と、虎は戦わないでしょう。
日本では竜というと竜巻ですが、本来、竜は地上の生き物だったのかも。

いま、地上でドラゴンと呼ばれている生物は、インドネシアコモドドラゴンです。
全長、3.5m、猛毒をもち、シカや水牛や、ブタや、人間を襲って食べる怪物です。
この話から、キングコングの映画が生まれたのは有名です。
しかし、コモドドラゴンの生息地は、インドネシアのウォーレス線の東側。ウォーレスは、ダーウィンより先に進化論を発表した人物です。彼は、バリ島の東の海を越えると、アジアの哺乳類が少なくなり、オーストラリアと共通の生物が増えるという発見をしました。
そのため、バリ島とロンボク島の間に、ウォーレス線という生物の境界があると信じられています。
そして、コモドドラゴンが居るのは、まさにその東側。つまり、トラやヒョウが居る場所には住めない、前世紀の生物なのです。

ところが、竜虎相い食むという表現では、間違いなく、トラと竜は同一場所、同一時間に共存していたに違いありません。

私の友人、青木先生は、その竜こそ、大阪の地下から発見された化石種、マチカネワニに違いないと信じています。
全長7mの巨大なワニは、口の細長い、まるで竜のような頭のワニでした。
当時は今よりは温暖でしたが、もちろん、日本は熱帯ではなく、温帯でした。
ちなみに、今でもミシシッピアリゲーターアメリカの温帯に住み、全長6mになります。温帯性の巨大ワニが居ても不思議ではありません。
青木氏は、このワニが歴史時代まで生存していて、その強さから、漢の皇帝が自らを龍の子孫としたのではないかと推測しています。しかも、もっと時代が下って、中原からマチカネワニが滅びたあとも中国の南方には生き残っており、マルコポーロが東方見聞録に記載した、ベトナムとの国境付近で見られるセルペンも、緯度から考えて熱帯性のワニではなく、このマチカネワニだったろうと、推測しています。

大型の肉食性のワニなら、まさにアフリカでライオンとナイルワニが獲物を争うように中国の川で、トラと獲物を争っても不思議ではありません。

本当にマチカネワニは、最近まで生き残っていたのでしょうか。
竜は実在の動物だったのでしょうか。

写真は、マチカネワニと形態が類似しているオーストラリアワニ。マチカネワニはこの数倍の大きさ。