がんばろう

地震以来、なかなか気持ちが上向きませんでした。
一時期は、今年は遠出しないと思ったときもありました。
私は自粛するかしないかは、個人の判断ですればよいと思いますが、個人的な考え方として、遊ぶお金があるなら義援金に出した方がいいのではないかとか、心にひっかかっていました。
しかし、北杜夫でしたか、子供の頃読んだ本で、食糧難の時にも山に登って蝶を追う男の話がありました。
自然が好きなら、今、この時こそ、私は山に行くべきではないか。

そう思って、ギフチョウのいる山に来ました。
関東は今日は晴れだということでしたが、山は分厚い雲に覆われていて冷たい風が吹きます。
もちろん、蝶は出ません。
しかし、今日は諦めません。
4時間、じっと、待ちました。突然雲が薄くなり、薄日が差してきました。
今日、最初で最後のチャンスが来ました。

止まった子は、右羽根が不完全です。
恐らく、羽化したとき失敗したのでしょう。
ギフチョウを飼育したことがありますが、蛹から出てすぐに羽を伸ばす普通の蝶と違って、歩き回って良い場所を選び羽化する場所を探し、それから羽を伸ばします。
とても失敗するとは思えないのですが、ここ数日の強い風が不運だったのかもしれません。
しかし、そんなことはどうでもいいという感じで、元気に飛んでいきました。

羽が奇形だとか、破れているとか、そんなことはどうでも良いのかも知れない。
今まで、この山には何度も来てますが、こういう子は一度も会っていません。
そんな中で、今日、この子に会えたことが意味があるように思います。

自粛でも、遠征でも、いずれにしろがんばろう。
常に迷いながら。